株式会社大林組のチームメンバー
  • 建設業
  • ビジネスイノベーション推進室
  • ご利用人数 10~20名

ビジネスイノベーション推進室における新事業創出プロセスの可視化と再現性ある自律型マネジメントを実現

株式会社大林組
ビジネスイノベーション推進室 副課長 小山 迪彦様
東京本店 生産事務部事務第四課 井原彩愛様

導入前の課題

新事業開発において具体的なタスクが必ずしも明確ではなくマネジメントコストが増大
  • 「どのような最終成果を目指すのか」「どのように最終成果を実現するのか」の想定について、チームで具体的に言語化できていなかった
  • 結果的に関係者間で期待値が食い違い、進捗への認識がズレやすく、現状把握のための会議が頻発していた
部署横断の兼業メンバーによる「できる範囲」での活動に終始
  • 本業メインの多忙なメンバーができる範囲で手当たり次第に取り組んでおり、全体像の中でうまく優先順位づけできていないかった
  • メンバー間の業務負荷のばらつきがうまく把握できず、メンバー間の負荷平準化や助け合いが阻害されていた
情報検索の非効率
  • 過去の経緯や資料などの重要情報を辿る際に時間を要していた

導入後の効果

会議時間を含むマネジメントコストの削減
  • 「ゴール・アクション・タスク・期待成果物」の具体的言語化により、目指すべき成果やあるべき進捗についてチーム内で共通認識を醸成
  • YARIKIRIツール上で最終成果に向けた全体像の中で個別の現状把握が可能になり、状況確認目的の会議がほぼゼロに
「ゴールからの逆算」で多様なメンバーがツボを逃さず自律駆動
  • 「できること」ではなく、成果実現のために「やるべきこと」が具体化され、優先度を加味した効果的な取り組みが実現
  • チーム内の各メンバーのタスク数が可視化され、メンバー間での能動的なタスクの「拾い合い」が自ずと発生
情報検索コストの削減
  • 取り組みごとに議論の経緯や重要情報・ファイルが一元集約されており、情報検索時間が大幅に短縮された

株式会社大林組は1892年(明治25年)の創業以来、「三箴 − 良く、廉く、速い」の精神を受け継ぎ、優れた技術による誠実なものづくりを通じて、社会・経済の発展と人々の生活の質の向上に貢献し成長してきました。近年では、創業130年を機に「MAKE BEYOND つくるを拓く」をブランドビジョンに掲げ、これまで培ってきた「ものづくり」の技術と知見を活かし、建設の枠に捉われない新たな領域と可能性を拓いていくことに挑戦されています。

今回、同社のビジネスイノベーション推進室における新事業創出プロセスの初期フェーズの可視化と再現性あるマネジメントの仕組み化を実現すべく、YARIKIRIを導入いただきました。その導入の経緯から課題、効果や今後の活用のビジョンについて、株式会社大林組ビジネスイノベーション推進室 副課長の小山様と東京本店の井原様にお話を伺いました。

新事業開発活動においてタスクの具体化に課題を感じていた

最初に、ビジネスイノベーション推進室のミッションやお二人の役割を簡単にご説明お願いします。
小山様

「VUCA時代に会社の新しい事業の柱を作る」という方針のもと、2021年4月にビジネスイノベーション推進室が新設されました。役割のひとつとしては、新事業が生まれるための再現性の高い仕組みの構築があります。例えば、事業開発プロセスの構築やリスキリングのための仕組み作りを行っています。 加えて、新事業開発に取り組む社内人材に対する支援も我々の重要な役割です。その文脈においては、アクセラレーター的なポジションも役割の一つとなります。ビジネスイノベーション推進室で教材を用意することもありますし、実際のプロジェクトに入り込み、新事業開発の各フェーズに合わせたアクションに一緒に取り組むといった支援を行うこともあります。

井原様

私はビジネスイノベーション推進室が企画する新事業案の提案プログラムに参画しておりました。提案内容が当社の研究開発者の目に留まり、研究開発者と簡易なプロジェクトチームを組成し、継続して新事業アイデアを具体化していく活動を行っております。

YARIKIRI導入前についてお聞きします。従来から新事業開発のフェーズに合わせたマネジメントを実施されてきた中で、どのような業務推進上の課題がありましたか。
小山様

今までも当室では、フェーズに合わせた活動内容や学習教材は整理しておりました。
昨年度は、新事業アイデア創出プログラムでの案件に加え、各部門からの持ち込み案件があり、活動内容や学習教材については各事業開発チームと共有していました。一方、事業開発チームに活動内容などを紹介しても、フェーズ毎のゴールを達成するために具体的なTo Doまで落とし込むことができていないと感じるケースが多々ありました。
こうした経験を通して改めて、具体化や細分化などのタスクマネジメントが成果を出す上で肝要であると再認識させられました。

井原様

YARIKIRIを導入する前は、週1回程度のミーティングで今後の方向性や調査すべき事の洗い出しを行い、課題がいくつもある中で、手当たり次第に取り組んでいくという進め方でした。
実は当時はそのやり方に対して大きな課題意識はなく、今思うとやれた気になっていただけで、実際はまだまだうまくやれる余地があったのだと思います。

YARIKIRIにより、状況確認を目的とした打ち合わせ頻度が減ると共に、「ゴールからの逆算」でツボを押さえた仕事の進め方がチームに浸透

ご自身のチームでYARIKIRIをどのように利用されていますか。
井原様

私の新事業開発チームでは週次定例会で利用しています。課題や今後のこと、改善案といった話がたくさん出てくるので、それらをYARIKIRIにタスクとして登録します。そして定例会の終わりに、それらタスクをゴールやアクションと紐付けながら担当者をアサインしていく形で、チームとして実現すべき成果に向け、抜け漏れのないタスク管理を実施できています。

YARIKIRIの仕組み上、タスクの議論をする際にも最終的なゴールとの紐づきを問われるので、常にゴールを意識した議論が自然になされるようになりました。

株式会社大林組 ビジネスイノベーション推進室 副課長 小山 迪彦様
株式会社大林組
ビジネスイノベーション推進室 副課長 小山 迪彦様
小山様

私が参加している別のチームも井原さんと同じような使い方をしています。マネジメントの観点でいえば、具体的なタスクや成果物が明確にされ、プロジェクト全体の現状が把握できるため、進捗が見えないことへの不安はかなり減りました。以前は、全ての打ち合わせに入っていたのが、YARIKIRIで常に最新の具体的な進捗状況が理解できるため、今では3週間に1回程度にまで打ち合わせ参加頻度が減り、業務の効率化を実現できています。

業務効率化というお言葉がありましたが、改めてYARIKIRIによる効果をどのように実感されていますか。
小山様

業務効率化以外の観点では、そもそも各フェーズにおいて、ゴールが何であるのか、そのためのアクションとして何が必要であるのか、がチーム内で具体的に共通認識が持てていなかったことに改めて気付かされました。さらにそのアクションを達成するために、具体的なタスクに落とし込む必要があることを、メンバーと議論する中で強く認識できました。

これらは特にYARIKIRI導入初期のオンボーディングを通して、見えてきたというのが実感です。

井原様

私も小山さんと同じで、YARIKIRI導入にあたり、最初に着手した「ゴールとアクションを紐づけて言語化する」という作業を通じて、改めてビジネスイノベーション推進室が掲げているゴールとアクションに対して、関係者で共通認識が持つことができました。

YARIKIRIを利用し始めてからは、「ゴールは何か?」、「アクションは何か?」、「アクションを達成するためにどういうタスクが必要か?」といった点を、常に全体像をイメージしながら整理して進められています。

今までは「できる範囲で手当たり次第に進めていた」ものが、「ゴールから逆算して活動のツボを抑えられる」ようになった点が一番大きな違いと認識しております。

導入前には何か不安や懸念はありましたか。
小山様

当初の一番の不安は、「当社のメンバーがゴールやアクションを設定したうえでタスクの切り分けを実施できるのか」という点でした。YARIKIRIはツールの導入そのものだけでなく、ゴールやアクションの立て方のレクチャーや、その実践についてもオンボーディングにて踏み込んでサポートいただけたので、メンバーの成長機会にも繋がったように思います。

井原様

私は特に不安はありませんでした。実施前は、メンバー同士でも期日等が曖昧になっている部分もあったため、むしろYARIKIRIを通して期日や活動内容を明確にしていきたいという期待感がありました。

YARIKIRI導入時の「変化に向けた成長痛」を経て、タスクの言語化により自律駆動的なチームマネジメントが実現

これまでのYARIKIRIを活用した活動を振り返って、学びがあれば是非お聞かせください。
小山様

我々の立場としては、メンバーが自走してくれるのが一番良い形ではあります。ただ、現実的にはリスキリングが必要な新事業開発において「ベーススキルが足りない」「何に取り組んだら良いのかが分からない」といったメンバーがゼロになることはありません。

これまで、そうしたメンバーに対しては、「あれやりましょう」と大枠の方向性を示して支援していたつもりでしたが、それでもうまく動けないケースが多く、どうしたものかと思い悩んでいました。

そうした時に、YARIKIRIの活動を通して、タスクを細分化することでメンバーとゴールに向けたプロセスの共通認識を持つことの重要性に気付けたのはとても大きかったです。チーム全体でゴールに向かうためのプロセスをタスクに落とし込んで言語化することにより、メンバー自身が正しく動けるようになったと感じています。

株式会社大林組 東京本店 生産事務部事務第四課 井原彩愛様
株式会社大林組
東京本店 生産事務部事務第四課 井原彩愛様
新事業開発の週次定例会でYARIKIRIをご活用されていますが、チーム運営の観点での変化はありましたか。
YARIKIRI画面イメージ
*ダミーデータによるYARIKIRI画面イメージです
井原様

今までは誰が何をやっているのかが見えず、メンバーの業務負荷も分からなかったのですが、YARIKIRIの利用により、誰が何をやっているのかが見えるようになり、メンバーの業務負荷が均一になったと思います。

情報検索の手間が減ったこともチーム運営にプラスに働いています。これまではメールやチャットツールで重要情報やファイルが共有されており、会話が流れていく中で過去の情報を辿るのに手間取ることがありました。

系的に追いやすく、情報検索の手間が減ったと感じています。

小山様

これまでは特定のメンバーにタスクが集中することがありましたが、タスクが可視化されることによりメンバー間でお互いのタスク量を把握できるようになるので、余力のあるメンバーが自然とタスクを拾いにいく感じになりました。マネージャーの立場としても、各々のタスク量や業務負荷が見える方が良いと思っています。

YARIKIRIによるメリットをこれまで複数お聞かせいただいていますが、情報をアップデートしていく工数については、多少なりとも負担があるかと思います。工数対効果についてはどのように捉えられていますか。
井原様

最初は確かにゼロの状態からYARIKIRIに登録していく面倒が多少ありました。ですが、そこを乗り越えないことには、今のように共通認識や全体感を持ちながらゴールに向き合うことができなかったと感じます。生みの苦しみこそありましたが、その後の週次定例会でアップデートやタスク切りを行なっていく定常運用においては、特段負荷を感じることもなく実施できています。

小山様

やはり、これまでのやり方と変わるので最初は苦しい部分もありました。ただ、そこでの苦しさは変化に向けた成長痛のようなものです。人数が限られている状況下で、全体像の中でその時々で優先度を付けながらやるべきタスクにフォーカスできるのは、YARIKIRIならではのとても良い点だと感じています。同じ目的をExcelで達成しようとしても限界があり非効率でしたが、YARIKIRIはタスクをドラックして動かせる等の直感的操作により、利便性と共に追加工数も最小化されている印象でとても便利です。

非定型業務や部署横断的業務と向き合う全てのチームで、YARIKIRIの効果が期待される

今後の部署としての展望をお聞かせください。
小山様

新事業をさらに増やしていきたいと考えています。増やしていくにあたり、これまでの新事業開発にて培った活動ノウハウをうまく展開していくことがひとつの課題になります。そこで、今のうちにYARIKIRIを通して活動の基本型を作っておきたいです。新事業Aにて作成したゴール・アクション・タスクが新事業Bでそのまま使えるかというと、事業や状況が違うため難しいと思いますが、活動設計時の叩き台として活用することで、無為にゼロからスタートしないことは重要だと捉えています。

YARIKIRIが効果を発揮しやすいと思われる業態や部署についてご意見をお聞かせください。
小山様

業種や職種を問わず、非定型業務や部署横断的な取り組みにおいて、YARIKIRIは特に効果を発揮しそうです。

大企業においては、通常ルーティンワークをそつなくこなしていくことが求められることが多いように思われます。ルーティンワークなため、タスクの切り方もあらかじめ最適化されています。

新事業開発では、少人数のチームが不確実性の高い状態で自律してマネジメントを行い、ゴールにたどり着くことが求められます。ここで求められるのはタスクを「細かく具体的に切り分けて考えること」や「全体像の中でどこを落としてはならないかを適宜判断すること」かと思います。一方、こういった仕事の仕方の経験が豊富にある社員は多くないと感じております。

貴重なご意見ありがとうございます、今後のサービスならびに製品開発に反映してまいります。本日はインタビューにお付き合いいただきましてありがとうございました。

社名株式会社大林組
設立1892年1月
本社所在地東京都港区港南2丁目15番2号
業種建設業
事業内容国内外建設工事、地域開発・都市開発・その他建設に関する事業、及びこれらに関するエンジニアリング・マネージメント・コンサルティング業務の受託、不動産事業ほか
従業員9,134名
資本金557.52億円
URL
※2023年6月 取材当時の情報です