
新規事業で「モノ売り」中心からの転換を目指し、「べき論」での事業推進により、本格的事業化に向けた確固な足掛りを構築
- 業種
- 輸送用機器
- 部門
- 経営企画部
- ご利用シーン
- 特定事業領域における海外新規事業の推進加速
- サービスご利用背景
当該新規事業が立ち行かなくなる危機感
- 特定の新規事業において、目の前のお客様対応等のオペレーション業務に追われがちで進捗が思わしくなく、事業として立ち行かなくなる前に、事業構想時のビジョンに立ち戻った活動を徹底してやりきることが急務であった。
「べき論」での活動を進める上で、 “行司”兼“プレーヤー”が不在・不足
- 今一度「べき論」に忠実な活動を徹底する上で、客観的視点にて当該新規事業の推進全体を司るPMO的存在、かつ主体的立場にて現場に寄り添い具体的に行動を起こせる存在が必要だった。
- 「べき論」では、自社に閉じた活動のみならず、外部プレーヤーも積極的に巻き込んだ取り組みが肝要な一方、そのやり方やうまくいくイメージが積極的には湧きづらい状況だった。
- ご利用効果
当該新規事業の本格的事業化に向けた蓋然性向上
- 複数の外部プレーヤーとの具体的な協業議論や、尖らせるべき自社独自性への理解が進み、当該事業の立ち上がり見込みを経営陣に対しても現実的に語れるようになった。
「べき論」での事業推進が加速
- 「できること」ベースではなく、事業が目指すべき姿・ゴールからの逆算による、活動設計やタイムライン管理・アクション実行が可能に。
- 半ば「中の人」として現場に実際の手足となり入り込む伴走型支援により、スピード感と具体的成果を伴った活動実施が可能に。
川崎重工業株式会社は1896年の創立以来、125年以上に渡り、陸・海・空の幅広い事業分野で、それぞれの時代において、最先端の技術をベースに、常に世界の人々の多様な要望に応える製品・サービスを提供してきました。お客様と社会の可能性を切り拓く力になるべく、川崎重工業グループの掲げるミッション「世界の人々の豊かな生活と地球環境の未来に貢献する"Global Kawasaki"」の実現を目指し、事業を展開しております。
今回は新規事業における課題解決のために、経営伴走サービス“部長の右腕”をご利用頂きました。ご利用に至った経緯から効果、今後の活用のビジョン等について、川崎重工業株式会社企画本部経営企画部の安部様にお話をうかがいました。
このままでは新規事業が立ち行かなくなる危機感を前に、今一度べき論に立ち戻った活動を徹底的に実行すべく“部長の右腕”を活用しました
- 初めに、現在のお立場やミッションについて教え下さい。
- 安部様
私は現在経営企画部に所属しており、会社の経営戦略や事業戦略を作っていくことがミッションになります。
経営企画部としては、各事業が会社が目指す全体方向性とのバランスの中で正しい方向に向かえるよう、全体取り纏めは元より、具体的な活動を推進していくことが重要になってきます。また、事業ポートフォリオが中長期的には必ず入れ変わっていくべき中で、新規事業の創出や推進後押しも当然ながら重要なミッションとなります。
- 今回の活動対象となった新規事業について、開示可能な範囲でご説明をお願いします。
- 安部様
過去数年来、北米において、特定の事業領域ではあるものの、従来事業の延長ではない新規事業開発に取り組んでおりました。
我々は製造業ですので、モノを作って売っていくことに関しては、長らく取り組んできたこともあり、一定の土地勘があると言えるかもしれません。その一方で、次世代を見据えた当社のグループビジョンを体現していく上では、我々が今できることを越えたチャレンジが必要です。例えば、これまでのモノによる価値提供から、サービスやソリューションも含めた価値提供モデルの転換にも取り組んでいく必要性を感じています。新しいことに取り組む際に、過去の延長線上的なやり方で「置きにいく」安全策をとってしまっては、次世代を大きく構想していくことはできませんし、新規事業としてやる意義が薄れてしまいます。新規事業である以上、これまでのやり方や成功体験を捨てて、「ホームランか三振か」的な覚悟や、ある方向に振り切った活動が求められるはずです。
経営企画の立場で当該新規事業の活動を過去数年間見てきた中で、あるべき姿についての微妙な認識齟齬やリソース上の問題により、「事業構想時のビジョンに則った然るべき活動が本当に実践できているのか?」「このままのやり方で本当に新規事業として前に進めるのか?」といった疑問が、日に日に大きくなっていました。加えて、コロナの影響で北米現地に行けず、現地の状況が把握しにくい中で事業開発を進めていかなければならず、事業としての手詰まり感を強く感じつつありました。
- 弊社の経営伴走サービス“部長の右腕”のご活用に至った経緯についてご教示下さい。
- 安部様
「新規事業が立ち行かなくなる前に、どうにか手を打たないといけない」という強い危機感がありました。
各種調査により一定の市場性を認識しながら当該事業に投資を開始した一方、自分たちが開発を進めている技術や商品が、具体的な市場のニーズに実際どの程度刺さるのか・どのように市場を創っていくことができそうなのかについて、なかなか解像度が上がっていかない点に強い課題意識を持っていました。
特に市場を創るにあたっては、自社だけに閉じた活動ではなく、外部パートナーとの連携等が必要であることはなんとなく認識していたものの、目先のお客様へのオペレーショナルな対応に手一杯となり、能動的な具体的アクションが十分には起こせていませんでした。
このような状況に直面していた折、社内関係者からタイミングよく、“部長の右腕”というサービスを紹介されました。「かちっとしたプロジェクトを回すというより、重要だけれども部長の手が回り切らない“かゆい所”を、現場メンバーも巻き込みながら、あるべきゴールに向けて主体的に進める」といった“部長の右腕”のコンセプトが、事業の置かれた状況の打破に繋がるイメージが湧き、まずは活用してみることに決めました。
- 「部長の右腕」をご活用頂く際に、ご懸念点やご不安な点はございましたか?
- 安部様
経営企画部としても、新規事業を進めるプロジェクトマネージャーとしても、それまで相応に苦労をしてきておりました。そもそも我々が目指しているゴール自体がもはや夢物語なのではないか、先に進める道が本当にあるのだろうか、といった状況に半ば陥っていたように思います。
そうした背景があり、“部長の右腕”のような経営伴走を外部の方にお願いしたところで、具体的に何も変わらない可能性すらあるのではないかという点は、やや危惧しておりました。ただ、ベターバウンドさんには、自社だけだと可能性にばかり目が行きがちなところを、主体的に事業を捉えていただきつつも改めて第三者的なドライな視点を期待していました。事業に入り込みながら臨機応変に価値の出しどころを見極めて頂ける支援スタイルだったので、最終的には「新規事業がこのまま上手くいかずに諦めるよりは、まずその前にやれることは全てやろう」という思いで、部として前向きに決断しました。
外部パートナーの探索・深耕活動を進める中で、当該新規事業の勝算を具体的に手にすることができました
- “部長の右腕”での活動内容について、開示可能な範囲でご説明をお願いします。
川崎重工業株式会社 企画本部経営企画部戦略課 課長
安部 崇嗣様“部長の右腕”として一貫して実施いただいたことは、当初の新規事業ビジョンに基づき活動全体を俯瞰した、あるべき論でのプロジェクトマネジメントです。「やれること・できること」の範疇を超えて、各関係者がいつまでに何を進める必要があるのかを都度明確にし、活動の巻き直しを行いました。
そうすると、力のかけどころであるにもかかわらず、自社にはリソースやケイパビリティが十分備わっていない領域、つまり自分たちで進めるイメージが沸かない部分に自ずとぶち当たります。それが我々のケースでは、まずは外部パートナーとの連携に関する部分でした。
社内のメンバーだけだと、出来ない事は仕方ないという雰囲気になってしまう時もあります。外部パートナー候補の探索活動や具体議論を進める上でも、一緒に現場で伴走頂き、「自分たちに見向きするパートナーが本当にいるのか?」という状態から、目の前の霧を少しずつ晴らしながら進めていただきました。
そうして小さな成功体験を獲得しながら、最終的には本格的な事業化に向けた検討を行える段階が見えてきた際には、中長期を見据えた自社独自性の構築方法や事業運営体制を現場と共に考えていただきました。
- “部長の右腕”によって、特にどういった事業活動が加速したとお感じになられましたか。
- 安部様
「我々の構想している提供価値により、どのように市場を創っていくことができそうなのか」について、具体的な勝算をいくつか手にすることができた点が、最も貴重な成果だったと捉えています。
これら問いへの答えは、「できる範囲でのこれまでの延長線上の活動」ではやはり見えてこず、あるべき論からの逆算で愚直な対外活動を積み重ねてこそ、成果が得られたように思います。目先の忙しさもあり及び腰だったことも、やってみれば想定外の良い形に着地するような成功体験もありました。
- 「部長の右腕」をご利用頂いた期間を通して、何か印象に残っているエピソードはございますか。
- 安部様
やはり、ご支援頂き始めた当初に、能動的にご提案いただく形でまず北米現地で活動いただき、やるべきだけどこれまでやれてこなかった活動がたちまち進み始めたことが今も印象に残っています。私自身、愚直に活動量を増やしていけば、何かしら事業が前に進んでいくということを強く実感しました。
例えば、外部パートナーとの協業推進について、それまでも「やっている」とはなっていたものの、成果と言えるものにまでは至っていませんでした。アプローチすべき対象・方法・話の持っていき方等を改めて見直すことで、行動の質量共に大きく改善され、結果的に明確な成果を見ることが出来ました。
“部長の右腕”をもっと早く活用できていれば…と強く思います
- これまでもご活用されてきたであろう各種外部サービスとの違いは、どのような部分にありましたか。
- 安部様
かちっとプロジェクト化せずとも走りながら考える形で、小回りのきく費用対効果の高い活動を推進いただけた点が助かりました。
「とにかく活動を巻き直さなければならない」というのが、今回我々が置かれていた状況でした。課題の大きさや重要性でいうとすぐにでも何とかしたい一方、いわゆる立派なコンサルの方々に何とかしてもらう話かというと、少ししっくりこない部分がありました。ですので、誰にも頼むに頼めなかったのが正直なところです。
“部長の右腕”には、外部の立場ならではの客観性を活かしていただきつつ、事業として必要な活動を非常に自分事化いただけたと思っています。あるときは知恵を絞り、あるときは現場と泥臭く手足を動かしていただけたおかげで、スピード感を持って質の高い活動を進めることができました。
少し余談になりますが、「部長の右腕」という名称が非常にしっくりきます。その名の通り、部長がやりたいような重要だけど手の届かないところに、自走的に手を届かせていただくユニークなサービスだと思います。
- 今後、経営企画部あるいは事業推進チームとして、次世代を見据えた事業や価値を世の中に実現していく上で、どのような挑戦を仕掛けていきたいですか。
- 安部様
当社のグループビジョン2030では、「安全安心リモート社会」「近未来モビリティ」「エネルギー・環境ソリューション」を3つの注力フィールドとして掲げているので、そのフィールドそれぞれに対して新しい価値や社会課題を解決するソリューションを提供していくという点で、これまで以上に「無から有」「0から1」にしていくような活動はどんどん挑戦していきたいと考えています。
当社で重要視している社会課題は、人口の減少、労働力の減少、地球温暖化や災害の発生などさまざまありますが、過去の延長線的な凝り固まったやり方ではなく、それら課題とゼロから真摯に向き合ったソリューションを創り出し、社会から必要とされることを今後常に目指していかなければならないと思っています。
- 最後に、新規事業立ち上げがうまくいかない課題に直面されている方々へのアドバイスをお願いします。
- 安部様
我々の場合は特にコロナ禍の最中ということもあり、事業現場で何が起きているか状況を把握しながら、機動的に行動改善していくことがうまくできていませんでした。先がうまく見通せず厳しい事業局面で“部長の右腕”と出会い、「あるべき論の徹底」と「正しい活動の積み重ね」で事業を大きく前進させることができたので、「本当はもっとできるのではないか」という事業テーマがあれば、まず一度“部長の右腕”にご相談してみると良いかもしれません。このサービスをもっと早く知り、利用できていなならば、我々の事業も1年2年早く芽吹く可能性もあったのではないかと感じています。
貴重なご意見ありがとうございます、今後更にサービスの価値を磨いて参ります。本日はインタビューにお付き合いいただきましてありがとうございました。
社名 | 川崎重工業株式会社 |
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設立 | 1896年10月 |
本社所在地 | (東京本社)東京都港区海岸1丁目14番5号 (神戸本社)兵庫県神戸市中央区東川崎町1丁目1番3号 |
業種 | 輸送用機器 |
事業内容 | 船舶、鉄道車両、航空機、宇宙機器、ジェットエンジン、各種エネルギー設備、各種舶用機械、プラントエンジニアリング、モーターサイクル、レジャー関連機器、各種油圧機械、産業用ロボット等の製造・販売 |
資本金 | 104,484百万円(2023年3月31日現在) |
連結売上高 | 1,725,609百万円(2023年3月期) |
連結従業員数 | 38,254名(2023年3月31日現在) |
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